-動脈硬化症の脈波速度・ABI・頸(けい)動脈などの各種検査-


動脈硬化症の脈波速度・ABI・頸(けい)動脈などの各種検査

動脈の硬さを調べる脈波速度検査

動脈硬化は血管が硬くなると同時に、血管の内側の壁にコレステロールがたまる状態です。動脈硬化がある血管表面が崩れると、血液が固まって心筋梗塞(こうそく)などが引き起こされます。

「脈波速度検査」では、動脈の硬さを調べます。手首や首筋に触れる脈は、心臓から押し出された血液による振動が波(脈波)として血管壁に伝わったものです。健康な人は血管に弾力性があるため、振動が血管壁で吸収され、脈波の速度は遅いです。動脈硬化が進むと、脈波は速くなるので、速度を指標として動脈硬化の進行を推定することができます。

検査は、血圧測定用の圧迫帯(カフ)を上腕と足首に巻いて行います。検査機器に身長、年齢、性別を入力して、スタートボタンを押すと脈波速度が割り出されます。検査時間は5分ほどです。

年齢とともに、脈波速度は速くなりますが、健康な人の脈波速度と比較することで、「血管年齢」を推定することもできます。

内臓に脂肪がたまるメタボリックシンドロームと言われた50歳代の男性は3年前、東京医大病院(東京・西新宿)で脈波速度検査を受けました。脈波速度はかなり速く、「血管年齢は70歳に相当する」との結果が出ました。循環器内科教授の山科章さんは「将来、心筋梗塞などを発病する危険性が高い」と生活改善を指導しました。

身長168センチ、体重76キロの男性はスポーツジムに通い、食事量を減らすなどして1年後に10キロ減量しました。検査結果は正常になりまた。

山科さんは「実年齢より5~10歳以上高い結果が出たら注意が必要です」と話しています。検査は測定時の血圧などの影響を受けるので、安静な状態で行う必要があります。


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足首と腕の血圧(ABI)検査

ある程度、動脈硬化が進んだ状態で「異常」を見つけることができるのが、「足首と上腕の血圧比指数(ABI)」検査です。あおむけに寝て測った足首の最高血圧を上腕の最高血圧で割った値のことです。

健康な人は、足首の血圧の方が高いので、ABIは「1」より大きくなる。ところが、動脈硬化は上半身より下半身で起こりやすいので、全身の動脈硬化が進むと足首の血圧が下がります。

0・9以下だと、足の血管が狭くなる「閉塞性動脈硬化症」の疑いが強くなります。この病気の患者の2割以上が心筋梗塞や狭心症、脳梗塞を併せ持っており、全身の動脈硬化進行度の指標にもなっています。検査は1分ほどで終わります。

頸(けい)動脈の血管検査

全身の動脈の中で動脈硬化が進みやすい血管の一つに、首の左右にある頸(けい)動脈があります。症状がなくても頸動脈の6割が狭さくしていると、2年間に5%の人が脳梗塞を起こします。皮膚表面近くを走る頸動脈は内部の様子を超音波で観察しやすいので、この動脈を調べ、全身の動脈硬化を推定することができます。

超音波検査は、脈波速度検査などと違い、実際に血管の内部を画像として診ることができる点が優れています。

しかし、超音波画像の濃淡や形から血管壁の状況を読みとる必要があるため、検査を行う医師や検査技師に技量が求められます。検査には20~30分かかります。

いずれの検査も循環器内科(頸動脈超音波検査は神経内科でも)で受けることができます。山科さんは「糖尿病などがある人は知らないうちに動脈硬化が進んでいることが多いいです。体に負担のない脈波速度検査とABI検査を年に1度は受けて動脈硬化の進行度をチェックして、心筋梗塞などの予防に役立ててほしい」と話しています。 


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脈波速度検査とABI検査を受けられる医療機関

全国に約8000あります。

お問い合わせは、検査機器の販売会社・オムロンコーリン(電)0120・078・203(月~金曜日午前9時から午後5時まで)。

病気の疑いがあれば、健康保険の扱いになります。


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